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音楽の垣根を超えて

先日「はじめてオペラの会」でレクチャーコンサートをさせて頂きました。ピアノとバイオリンで「多民族国家のアメリカで生まれた音楽」をご紹介しました。曲目は以下。

 

 ・夢路より    S.フォスター

 ・おおスザンナ  S.フォスター

 ・故郷の人々   S.フォスター

 ・アメージンググレース 黒人霊歌

 ・聖者の行進      黒人霊歌

 ・ブルース       即興

 ・アイガットリズム   G.ガーシュイン

 

どれも馴染みのある曲ですが、どの曲も背景にはアメリカへと移民してきた民族の歴史があります。アメリカに渡ってきた彼らの音楽はどのように「カントリー&ウェスタン」「ロカビリー」「ブルース」「ジャズ」等のジャンルへと発展していったのか?それぞれの音楽の特徴も説明もしつつ、実際に演奏をして聴いていただきました。

 

 

民族の歴史、作曲家の紹介、曲の紹介、音楽ジャンルの話など、説明すべきことが多く、かつ演奏もしなくてはいけないので大変ではありましたが、今回1番大変だったのはピアノを演奏してくださった木村翠先生かも知れません。

木村先生はプラハ音楽院に留学されていた、ばりばりクラシックの演奏家でありますが、普段接することのないジャンルばかりをお願いした為、大変苦しめてしまうことになりました。

 

 

私にできる最大限の敬意を持って譜面作りをしたつもりではありましたが、カントリー&ウェスタンやジャズでは「ストライド奏法」で早弾きをして頂いたり、ブルースピアニストの「ドクター・ジョン」スタイルでブギウギ演奏をして頂いたり、アメージンググレースではブルーノートをふんだんに使った装飾音だらけのジャズバラード調で演奏をして頂いたり‥‥と、書き出すと一層「なんて無茶なことをさせてしまったのか!」と自責の念にかられてしまいます。ですが、ここは木村先生の「スーパープロ魂」で見事に弾きこなして頂き、ただの記号であった譜面は魂を吹き込まれ、活きいきとした音楽となったのです。

 

 

民族の音楽は時に反発や融合をしたりなどして、垣根を超えて新しいジャンルが登場していくお話をしつつ、その場でも木村先生にはジャンルの垣根を超えて演奏をして頂き、「音楽の多様さ」というものに私は人知れず感動に打ち震える時間を過ごしたのでありました。